京都の錦小路の脇、とでもいうのか、うどんの冨美家がある。ここはお店はそんなに大きくないんだけれど、関東でもあちこちのデパートの地下食品売り場に小店を持っていてそこで出汁つゆも入ったうどんのキット(いや、模型じゃないんだからセットというべきか)を売っている。
おふくろが認知は進んでいるものの元気だったころ、自分の当番になって実家に行く時はデパートの地下によって食材を買い、自分用にこのうどんを買ったものだった。おふくろのおかずを作って出して、一段落すると自分のためにこのうどんを小鍋で煮ていると、おふくろが匂いをかぎつけて「ご飯はまだ?」といって困惑したものだ。
何年か前に京都に行った時に、このうどん屋を見つけてとても懐かしくて、これは食いたいものだと鍋焼きうどんを食った。おふくろを思い出して嬉しかった。しかし、店員さんにはなにも思い入れなんてある訳じゃない。あそこの店の店員さんはベテランさんばかりだった。それがまた対極にあって良かった。
今年も行ったら必ずあの鍋を喰おう。