ほぼ足りてまだ欲 その先

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いやになった

 トルコで拘束されて、直ぐさま国外退去処分を受けて帰ってきた若い男性が「日本がいやになった」と説明したらしい。いっそのこと、シリアにいって、ISILにでも入ってやろうかと思ったのかもしれない。バックで繋がっている組織的な動きではないだろうというのがその受け取り方なのかもしれない。
 しかし、こんな反応をどこかで聞いたような気がする。たとえば秋葉原で借りてきた車を人混みの中に乗り入れて何人もの人を犠牲にして死刑判決を受けた加藤智大は非正規で職を転々とした挙げ句の果ての事件だった。彼の弟は出逢った女性に自分がどんな境遇にあるのかを打ち明け、その女性からお兄さんとあなたは別の人だといわれたにもかかわらずその親から「一家揃って異常なんだよ、あなたの家族は」といわれ、絶望のあまり自死をした。「突きつめれば、人を殺すか自殺するか、どっちかしかないと思うことがある」とまでいっていたらしい。
 人殺しを肯定する気は全くない。しかし、今のこの国のあり方のまま推移していくとすると、ますます貧富の差が拡大し、多くの若者が資本の食い物にされるがままの人生を送る結果となれば、ますます、絶望から事件を起こすことが頻発してもおかしくないと思える。
 そもそも、宗教宗派の色合いを深めてはいるものの、ISILの始まりにはそんな色がないとはいえないし、欧州における移民の閉塞感がそれを加速していることから目をそらしている場合ではない。