一度取得した言語は油断をするとすぐに錆びる。簡単に錆びる。母語である日本語だってそうなんだから、第二獲得言語はもっと簡単に錆びる。だったらもうそんな言語は諦めればいいということになるかもしれないけれど、その言語が共通言語になっているところに暮らしていたらそれでは済まない。
私にとって、英語は第二獲得言語だったのだけれど、もはや、自分の頭の中で多少の準備をしておかないとすぐには対応できかねる状態になってきている。特に読む場合にそれは顕著で、本を読む気力がなくなってきている。例えばかつては読んでいたドキュメント報告書なんかでもたいそう疲れてしまって根気が続かない。
人生は油断がならない。あれだけ一生懸命頑張っていたはずなのに、この体たらくだ。ガッカリしてしまう。頑張ったあの日々は一体なんだったんだろう。はっきりいってしまえば、それなりの能力しかなかったことでもある。
異郷に暮らして異郷の言語を獲得した人がその言語を失ってしまうのは気の毒だ。
