ほぼ足りてまだ欲 その先

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成人式

 テレビはどこも成人式のニュースが満載だった。浦安のディズニーランド成人式、北九州のまるで仮装行列みたいな成人式、大熊町出身の人たちの成人式、それぞれに考えさせられる成人式だった。「立派な大人としての責任を果たしていきたい」的な優等生的な発言をするひとたちには感心させられる。なぜかというと、自分のその当時を振り返ると、全くそんな意識を持っていたとは思えないからだ。
 成人式を通り過ぎようと通り過ぎまいと、なんにも変わらない日常が続くだけだと思っていた。そのままぼぉ〜っと日常が続いていた。あの時、高校時代の友人たち数人で、明治神宮へ、というか原宿へぶらぶらといった記憶がある。どこか喫茶店に入って、駄弁っていたような気がする。当時、そうした場所の喫茶店は「お正月料金」なるものを平気でとっていた。大学受験寸前だったのだろうか。だからなのか。その年の父親が大学の同級生と交換している家族写真には、私のところに「臥薪嘗胆中」と書いてある。

 その後の数年はまったく自分の人生について真剣に考えていなかった。流れに流され続けていた。流れに棹を差したのはそれから30年後のことだ。そんなに長いこと、自分の人生に真剣に向き合わなかったなんて、今となっては、取り返しがつかない。気がつくのは早いに越したことはない。しかし、若い力が思わずほとばしってしまうことは止められない。ゆっくり気がついたって、気がつかずに人生を終えるのに比べたら充分だと思う。わたしが相当ゆっくり気がついたといっても、それとて、本当に気がついたのかどうかはまだわからない。多分誰にもわからずに、時間だけが過ぎていくんだろうと思う。そして誰の口にも上らなくなる。こんなことは若い時には思いもしなかった。前途洋々だった。

 その点でも今の若者たちに、申し訳なく思う。今の日本はもはや「前途洋々」とは言い難い。少しでも抗っていかないと申し訳が立たない。