あの事件から丁度50年が経ったそうだ。私は三島をただの一冊も読んだことがない。自信に充ち満ちた三島がイヤだった。どんなことを喋り、どんなことを書くのかも検証したくなかった。私の嫌いな人間の匂いが立ち上っておった。当時、アナキーな雰囲気の人間を連れてくる男が仲間にいて、そいつが連れてきた男のうちのひとりが早稲田の学生だといっていたが、気がついたら、三島のあの軍隊ごっこに加わっていて、おどろおどろしい,ナチスまがいの制服を着て現れたことがあって、ますます三島を毛嫌いしていた。そうこうするうちにあの事件になり、あぁ、やっぱりあいつはそういう奴なのだ、と全く触らずに来た。一体、なんだったんだ。それを知ろうとするほど、私にはもう時間は残っちゃいないだろう。なにしろ興味のあるものは他にいっぱいあるんだから。
そうだ、偶には辨松の弁当を食いたいなぁ。