ほぼ足りてまだ欲 その先

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言語同断

 安倍晋三がしれっとして自分は立法府の長だといったことは記憶に新しい。ところが国会事務局はとんでもないことをしている。渡辺輝人 | 弁護士(京都弁護士会所属)がこんな指摘をしている。2016年6月9日 11時43分配信)(こちら)。

安倍首相は「えー、山尾委員はですね、議会の運営について、少し勉強して頂いた方がいいかもわかりません。議会についてはですね、私は立法府立法府の長であります。」と重ねて確認するように発言しています。
 ところが、実際に公表された衆議院予算委員会の議事録では、当該部分は以下のようになっています。

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安倍内閣総理大臣 山尾委員は、議会の運営ということについて少し勉強していただいた方がいいかもわかりません。
議会については、私は行政府の長であります。国会は国権の最高機関としてその誇りを持って、いわば行政府とは別の権威として、どのように審議をしていくかということについては、各党各会派において議論をしているわけでございます。

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 実は安倍首相は第一次安倍政権の2007年にも同じ言い間違いをしているのですが、こちらの議事録は修正されずに残っています。

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「○内閣総理大臣安倍晋三君) それは、正に参議院のこの委員会の運営は委員会にお任せをいたしておりますから、私が立法府の長として何か物を申し上げるのは、むしろそれは介入になるのではないかと、このように思います。」

 これはとんでもないことで、公の発言を国会事務局たるものが恣意的に捏造しているわけで、こんなことがまかり通るのだとしたら、なにが正でなにが不正なのか、まったくわからなくなり、事ここに至ればこれはまさに安倍晋三独裁国家になっていると捉えずにどう捉えるというのか。
 これ以前に、昨年9月17日に、参議院の我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会は鴻池委員長の不信任決議案の否決のあと、鴻池が委員長席に着席後、自公を中心とする「戦争をできる国」支持政党が強行採決を行ったけれど、ここでも同じようなことが行われている。
 当日の委員会の議事録の最後の部分。(国会議事録サイトよりこちら)。

○委員長(鴻池祥肇君) ……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能
   〔委員長退席〕
   午後四時三十六分
     ────・────
  本日の本委員会における委員長(鴻池祥肇君)復席の後の議事経過は、次のとおりである。
 速記を開始し、
○我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案(閣法第七二号)
○国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案(閣法第七三号)
○武力攻撃危機事態に対処するための自衛隊法等の一部を改正する法律案(参第一六号)
○在外邦人の警護等を実施するための自衛隊法の一部を改正する法律案(参第一七号)
○合衆国軍隊に対する物品又は役務の提供の拡充等のための自衛隊法の一部を改正する法律案(参第一八号)
○国外犯の処罰規定を整備するための自衛隊法の一部を改正する法律案(参第一九号)
○国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する人道復興支援活動等に関する法律案(参第二〇号)
国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案(参第二三号)
○周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律及び周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律の一部を改正する法律案(参第二四号)
右九案を議題とし、
○我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案(閣法第七二号)
○国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案(閣法第七三号)
右両案の質疑を終局した後、いずれも可決すべきものと決定した。
    なお、両案について附帯決議を行った。

 この最後の部分。ここについて本年5月17日の参院予算委員会で、民進党福山哲郎が指摘した。

 成立直後に参院事務局が作成した未定稿の議事録では、混乱する会議場を「速記中止」「発言する者多く、議場騒然、聴取不能」と記した。しかし同年10月11日の公式の議事録では「速記を開始」「質疑を終局した後、いずれも可決すべきものと決定した」などの文言が加わっていた(The Huffington Post | 執筆者:安藤健二投稿日: 2016年05月18日 12時24分 JST 更新: 2016年05月18日 12時43分 JST

 と指摘されている。これについて、福山の質問に対して

中村剛・参院事務総長は「会議録末尾の補足掲載中に、速記を開始した旨の記録があるものは、昨年の通常国会9月17日の平和安全特別委員会の例、1件だけ」として、過去に例がない対応だったことを明らかにした。(同上)

 これを安倍晋三は「国会のことは国会にお任せする」といって逃げた。
 まさにゆゆしき問題で、この国の、というより、この自民党の体質が「公的なもの」についての責任感、歴史観というものを確として捉えられていないということの明白な現れだということができる。公文書館がそろそろ満杯になりそうだけれど、この際憲政会館の敷地の中にでも立てるかね?という片手間な考え方が象徴していると云えばそれまでだけれど、国を国として成立させる思想に欠けている。口先だけで政治も歴史もどうにでもなるという慢心が独裁権力者のゆえんでもある。
 今度の参議院議員選挙でも、自民党はこれを乗り切って自公おおさか維新改革こころで三分の二をとって直ぐさま現憲法を反故にして、国民の犠牲の上に成り立つ独裁憲法を制定するつもりでいる。しかもここを公約の中では小さく小さく取り扱おうとしている。
 多分、選挙でこの国はそうなるだろう。なぜなら半分以上の国民はそんなのどうでも良いと思っているからである。そういう国民にはこんな政府がお似合いなのかもしれない。どうでもいいのだろう。

追記

 なんとあの発言は既に削除済み。

2006年12月に安倍首相は国会で「全電源崩壊は起こりえない」と答弁した福島事故最大の責任者と指摘してきたが、答弁書衆議院議事録から削除されていた。

 あきれ果ててものがいえない。これだけでもうすでに安倍晋三は国会議員たり得ないだろう。