ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

人手不足

 あの太平洋戦争が終わりに近づく頃、国内の労働力はとにかく払底していた。17歳だったから、47歳までだったか、根こそぎ徴兵していったくらいだ。それでも与える武器すらなかったと。陸軍幼年学校の生徒たちでも訓練する武器がなくて、手榴弾を投げる練習なんてのをやっていたと作家の西村京太郎が語っている。なにしろ中学生だって、女子学生だって、学校の授業なんてのはもうなくて、勤労動員といって工場へいって働かされていた。当時のニュース映画だったのか、坊主頭に鉢巻きを締めて、ヤスリがけをしている少年なんてのまで見たことがある。

 そんな状態だから、基幹産業ではもちろん猫の手も借りたいほどで、炭鉱を含む鉱山で強制労働をされた捕虜は数え切れない。彼らに対して日本政府はその後補償をしたのだろうか。有名な強制労働では映画にもなった泰麺鉄道の工事があるけれど、国内の各工場、鉱山でもほとんど捕虜収容所があって、ジュネーブ条約では禁止されていた強制労働を課していた。日本はジュネーブ条約を批准していないといって。もちろん刑務所の受刑者も強制労働させられていた。だから、当然看守もいたわけで、私が働いていた昔の造船所にはそのまま看守が戦後の警務員として働いていた。

 植民地である朝鮮半島からも、もちろん労働者として連れてこられた人は数多く、捕虜と同様に各地の鉱山、工場で働かされていた。これは事実だ。しかし、彼らに対しては日韓条約で精算が終わっているというのが日本政府の建前である。しかし、個人個人が、彼らの労働によって利益を上げていた企業に対して、その分を補償して欲しいという要求はこの条約に含まれていない。

 三菱マテリアルは彼らの訴えに応えた。しかし、日本製鉄とまた名前を変えた新日鐵住金(元の新日本製鐵、つまり元の八幡製鉄と富士製鉄、つまり戦前の日本製鐵)はこれを無視した。そして安倍晋三自公政府総理はこの訴えを支持する韓国政府に対して「不適切」なことがあったから、「優遇」していた輸出規制を優遇しないといった。

 これが日本国民をして「当然だ」と世論でいわせている。韓国では日本製品不買運動をするといっているが、例のフッ化水素など三品目を規制強化されたらお手上げになるらしい。

 相手を追い詰めることが外交手段なんだとしたら、これはもう既に戦争を挑んでいるということになってしまう。自分たちがあれだけABCD包囲網に苦しめられて、致し方がなかったといって始めた戦争を正当化したがっている勢力は、今度もし(そんなことは絶対にあり得ないけれど)韓国が日本に手を上げたら、「そりゃ追い詰められたんだからしょうがないな」と解釈はしないだろう。そんなことわかっているのに、こんなことをする。

 これで「あぁ、すっとする」といって喜んでいる爺は、憎悪侮蔑に値する。