ほぼ足りてまだ欲 その先

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枝野対キャノン

昨日の衆議院予算委員会で、民主党の枝野がキャノン・御手洗を責め、柳沢、安倍はあからさまに御手洗を背後に守る。なんとも志の低い政治姿勢である。

2007.02.23衆議院予算委員会
枝野:小沢代表は一部で疑義があるといわれた事務所費の中身を公開した。国民の皆様の監視とチェック。見て頂いて、知って頂いて国民の皆さんのチェックを受ける。閣僚の中に事務所費に関して疑義があがっている。特に多額の事務所費が疑義があがっている松岡大臣、伊吹大臣。信頼される会計責任者がやっているのだから問題がないというのならば公開して国民にお示し頂きたい。閣僚には説明責任があると総理は仰ったことがある。政治全体に対する信頼の問題だ。見て貰った上で、なんの問題もない、ということであればそれで良いではないですか。リーダーシップとして取りざたされている閣僚の事務所費を公開されることをお奨めしますが、如何でしょうか。
安倍:小沢代表が考えられる範囲で公表されたことは承知していますが、年間4億円という極めて多額な費用をおかけになるのは異例なこと。そうした中で議員として判断して公表されたと承知している。法令に則って処理をしているわけで、個人に関わることでもあります。法律に規定されていないものを公開しろというのはおかしいのではないでしょうか。一定額以上の事務所費をお使いになっているのを各党でそれぞれの党がお決めになればよいかと思います。
枝野:佐田元大臣の一件でも内閣の信頼性の問題があるのだから説明責任を果たすべきではないか。収支報告の修正もされていない。どのような問題があったかという点についても明確にされていない。
安倍:事務所費について不適切な点があったということで自ら退任されたわけです。事務所費についてもそれをお認めになって退任されたわけです。事務所費のあり方について法改正も含めて議論していきたい。
枝野:不適切であるというだけで何も修正されていないのは問題。内閣が信頼を失ってもわれわれにとってはどうでも良いが、政治の不信を招いたのは明確。改めて佐田元大臣を呼んで頂きたい。
委員長:昨日の委員会でも同じ要求を戴いていますので、検討します
枝野:二人の大臣についても、それぞれが、法ではここまでだけれども・・・疑いがあるんだったらここまで出しましょうということをいえる文化が大事だと思います。
先日も経済財政諮問委員の御手洗氏のキャノンの偽装請負について総理の考えをただしてきました。昨日の大野さんのお話でも、正社員への登用が必要となってしまうから派遣、請負へ変更させられている。われわれの想像がつかない技術を使う仕事を7年続けていながら正社員に登用されない。年収270万円という大野さんです。昨日の通告でご覧の上来て下さいとお伝えしておきました。こういう状況放置が許されるのでしょうか。
安倍:昨日の公聴会におきましては製造現場における派遣請負労働者の実態、非正社員化等の公述があったと承知していますが、個別企業に関する感想は差し控えたい。労働者派遣法に違反する事実があれば速やかに是正を徹底していくことは当然だと思います。その上でどの様な働き方をしても安心して納得して働くことのできる環境の整備は極めて重要であり、働く人のルールの整備にも取り組んでいきたい。 具体的にはパートタイム労働法の改正、雇用対策法の改正、請負事情の適正化及び請負労働者の雇用管理の改訂を図るガイドラインの作成を行ってまいる考えであります。
枝野:先日もこのキャノンの問題を取り上げましたが、あなたが指名をされて経済財政諮問会議という、ある意味では一国会議員よりも余程政策決定に影響力を持っている立場にこの会社の会長を選任しておられる。
厚労大臣にお伺いします。少なくとも報道で明確に時期場所が明確になっているだけで05年夏に大分キャノンが、06年には宇都宮本体工場がそれぞれ偽装請負で指導を受けたと報道されています。神奈川では昨日の大野公述人が属する東京ユニオンが当事者となっている案件、つまり偽装請負、派遣法違反ということの当事者として救済の申し立てをしたという、当事者になっている事件だけで05年2月と12月の二度にわたって派遣法違反で是正指導がなされています。これは間違いありませんね。
柳沢:個別の企業の点について新聞報道を確認せよといわれてもそういうことはできないし、差し控えるべきだと思います。
枝野:確認はできるわけでしょ?指導しているのはあなたの手足である労働局です。
柳沢:個別の企業については私ども行政がどの様なことをしているか、ということについてはお話をすることは差し控えるべきだと思います。
枝野:公表できないという理屈は厚労省の方から説明は受けた。派遣法には公表という規定があって、それを満たしたときに公表できるという規定がある。指導にも従わなかったときはその旨を公表できる。それ以外のところで公表できないとは法にはどこにも書いてない。まして、全ての企業を出せとはいっていない。皆様が経済財政について一緒にものを考え、議論をして経済政策をつくっていこうとしている仲間にしている経済財政諮問委員会の御手洗さんが会長をなさっているキャノン、既に世の中に明らかになっていることだけでも確認できませんか、といっているのであって、世の中の全ての指導を受けた企業を出せといっているわけではない。それでもご説明になれないわけですか。
柳沢:私どもでは国会で作られた法に基づいて行政をやっていくのが使命だと思っている。ご指摘の通り公表だけでもひとつの行政手続きとして法定されていることでありますから、その手続きに従って執行するとそういう立場です。
枝野:まず法律そのものが勧告を受けたものがそれに従わなかった場合その旨を公表することができる、その旨というのは勧告に従わなかった旨と読むのが法律の解釈として正しいと思いますが、その旨を公表することができる。それ以外のことは書いてない、公表してはいけないなんてことは。まず現行法の解釈の問題として、ここは勧告に従わなかったひどい会社です、ということはこの法律に基づいてひどい会社ですといって公表したらよい。だけどそれ以外について勧告に通り是正されましたと公表するともしないとも書いてないんで、まず法律の解釈として私は今の解釈は疑義がある。百歩譲ってそうだとしても、この法はざる法だから改正しなくてはならない。なぜならば同一の企業グループが繰り返し、繰り返し派遣法違反で指導勧告を受けている。その都度その場では、はいわかりましたといってそのケースだけは是正しているんですよ、イヤ、それどころか是正し切れてなくて、争っているというのも今いった5件の中にありますが、というか今現に大野さんの件を争っているわけですが、その他にもまだ残っているものがあります。
同じ企業グループの中で一箇所出た、わかりました、従います、そうすれば公表されない。だけど同じようなことをやっていると同じ企業グループの別のところでまたおこって、また申し立てを受けて指導を受けたらごめんなさい、今度はやりませんといって、そこでわかりましたといったらおしまい。また同じ企業グループの別のところで繰り返す、まさにキャノングループはそれをやっているじゃないですか。それにもかかわらずなんの社会的制裁を受けずに繰り返される。法律自体がざる法です。もし、今のが正しいとしたら早急に法を改正するべきと思いますが、違いますか。
柳沢:これはあの本当に是正指導、勧告、それから公表という一定の枠組みの中で規定されていることは枝野先生ご指摘の通りだが、基本的には是正指導をした場合に自主的に是正していくということがこの法が一番期待しているところでありまして、それがこの法の目的だから、自主的に是正していくことをこの法は目的としている、と考えている。
枝野:キャノンはそれをやっていないんですよ。報道は外しましょう。昨日おいで戴いた参考人の資料として出して頂いた東京ユニオンが関わっている神奈川の事業所のケースだけでも2005年2月に神奈川労働局から是正指導が出て、その年の9月に別の人が派遣法違反を申告。こういうケースが出ているんです。同じ事業所で、勧告、あぁわかりましたといって。現に起こっている。現に起こっているんだから百歩譲って今の法の解釈が仮に正しいんだとしたらざる法であって、まさに企業経営者の善意に期待しているけれども、少なくともここまでのキャノンという会社はその善意に反する行動を繰り返している。こうした企業は放置されている。真面目に勧告を受けたらごめんなさい、間違いましたといってグループ全体で是正をしているところが馬鹿を見る。こうやって見つかってそこだけさけばいいやといっているキャノンが得をする、あべこべじゃないですか。
柳沢:枝野委員は繰り返しの話とグループの別会社の話を一緒に論じていたわけですが、思うのですが、繰り返し、同じ会社で繰り返しということになると行政判断としてはいろいろな判断があると思う。しかし、この法律に従う限りはですね、別の会社であれば一社一社について手続きを進めていくと、これが法の命ずるところであろうと考えます。

枝野:二つの面で今の答弁はおかしな話でありまして、柳沢大臣が言っておられる法の公表の要件に関しての解釈によれば同じ会社であっても反復繰り返しがあってもそのつどちゃんとしたがっていれば公表と云うところまではいかないんですよ。勧告を受けたものがこれに従わなかった時、なんですから。勧告を受ける都度ちゃんと従ってやっちゃえばなんの制裁も受けないんですよ、同じ企業の中で。という意味で今の答弁は全く法の解釈を間違っていて行政の判断でできるのであれば今度のことだって行政の判断で公表できるはず。それから企業グループ別会社でって、それがざる法じゃないですか。一体として私キャノンについて調べてきていませんが、例えば連結決算ができているような、企業グループで、親子会社関係がある企業グループで会社法人を別組織にすれば、また別の会社でやる。これで通ってしまう。そういうことで、じゃ本当に、繰り返します、勧告とか受けて、あぁこれはまずかった、いけないことをしたといってちゃんと派遣の人たちを正社員にする、偽装派遣をしない、そうした会社が馬鹿を見て、キャノンのような会社が得をする、そういう制度をそのまま放置するのはおかしいんじゃないですか、と聞いている。

柳沢:これはですね、少なくとも現行法では一社ごとに行政指導なり、行政処分に入っていくということで、私が申し上げましたのは同じ会社で一度是正されるけれどもまたすぐ次にやるということであれば一定の心証が形成されて、その勧告等についてもそれなりの配慮が払われてくであろうということを常識的に申し上げているわけです。法の運用という意味では私はそうであるべきであろうと思います。別会社ということになれば正直言って私はキャノンというようなことを申し上げておりません。そうした関連会社というようなことについてまでここで私が新たな立法論を行うという準備は正直私はもっておりません。
枝野:まず、派遣法49条の2で勧告とかをなされるのは個別の、私は本来正社員になれという申し入れを受けるべきなのに受けなかったとか、正社員になるべき派遣期間を過ぎているから正社員にしてくれといったのに断られたといったような個別案件を是正する勧告なんです。だから今のようにこのグループは全体として繰り返しやっていてひどいなぁという勧告ことではないんですよ、この49条の2は。法律をまた勉強して頂いて・・後日また答弁を訂正されるんでしょうね、この予算委員会で何度答弁を訂正されているのかわかりませんが。そして後段まさに今のような法制度で良いんですかということに対して今は考えていないと。まさにそういったことを考えなくて成らない。そのために当事者の方にも公述人としてきていただいてここで議論しているんじゃないですか。企業グループ全体としてちゃんとやるところ、別の会社だから関係ねぇやとごろごろやっているところ、そういうところはまさに正直者が馬鹿を見るという企業間でもそういうことが出てきて本当に良いのか。総理、お尋ね申します。先日この御手洗氏が経済財政諮問委員として本当に適切なのかという質問に対して「法律を遵守するということは当たり前のことだということも諮問会議において発言されているわけでありまして」とお答えになっている。ところがキャノングループはこの発言以降も、昨日公述人としてきていただいた大野さんの案件で、偽装請負をやっていたんです。さらにいうと昨日大野さんが準備して頂いた資料によれば、今年の1月になってからも正社員採用セミナー開催という募集求人広告にも「派遣社員などで現在キャノンに在職中の方は参加をご遠慮ください」なんていう正社員化を進めるという話と全くあべこべのことをやっていてまさに法律を遵守するのが当たり前のことだと経済諮問会議でいっていることとあべこべのことをこの方流行っているんですよ、良いんですか。
安倍:先般の予算委員会で私が答弁しましたのは諮問会議で御手洗委員が当然法令を遵守するのは当然であるというこのように発言したことを紹介しました。そういう考え方で起業家としても行動しているというご本人のお考えだと思います。キャノンも世界のキャノンですからそれにふさわしい行動をこれからもされるであろうと私も期待をしてます。それとともに御手洗委員も個人として諮問会議のメンバーに選んだわけでございます。いわば経営者として国際競争の中で、立派に企業が国際競争のなかで競争力のある企業として多くの人たちの雇用を確保しながら利益も上げ税金も納めて戴いているわけであります。そうした確固たるビジョンを諮問会議でも生かして頂きたい。今後ともその責任を果たして頂きたいと思います。と同時にやはりそれは企業としての責任を果たしていくことも企業の経営者としては当然のことではないかと思います。
枝野:良いですか、キャノングループは自らの企業グループで偽装請負、派遣法違反を先ほどのように報道等や当事者の声で確認できるだけでも5件繰り返しておられます。あります。それだけではなくあるかも知れない、公表されなくても内閣総理大臣は知りうるはずです、この間の予算委員会でも申し上げました。やっているのは外国ではなくて労働局ですから。内閣として勧告調査をやっているんですから当然厚労大臣は知っているはずですし、そのことについての情報も内閣総理大臣は知りうるわけですから内閣総理大臣はキャノングループがどこで何件偽装請負などで指導を受けているかを知っているはずであります。その上でこの御手洗委員は自分のところで偽装請負などをやっておきながら、法令遵守は当然だといっておきながら今のようにその発言の後も違法な行為で問題になっていながら、経済座聖諮問会議、昨年の10月ですが、これでは請負法制に無理がありすぎる、今の派遣法の様に三年たったら正社員にしろと云うと硬直的になってダメだと堂々といっている。それぞれがそれぞれの意見が意見としてあることは認めます。しかしながら自分のところは法を守ってちゃんとやっている、だけれども今の経済状況のところでは大変に難しくて今の法制に無理がある、直しましょうよ、直して下さいというのならばすじはある。筋は通る。だけれども自分のところで違法な行為をやっていてその違法な実態に合うように法を改正して下さいよと一経営者が言うのであれば結構です、経団連の会長が言うのであれば結構です。しかし、経済財政諮問会議委員という公的な立場公的な場所で発言する方が私はそういう立場にふさわしいとは全く思わないのですが、安倍さんはそう思わないんですね。
安倍:個々の企業についてはわれわれがこれを公表できないということは先ほど厚労大臣がお話しした通りです。その上で申し上げればこの御手洗議員は企業の代表としてその場に座っているわけではありません。個人としての経営者としての手腕にわれわれは着目してですね、経営者として競争力を向上させ、世界において競争に勝ち残っている。そして経営者としてのビジョンを多くの方々から評価を受けていることは確かです。その手腕をですね、日本の経済の運営に生かして頂きたい・・・すみません場外の発言はいい加減にして貰えませんか、いい加減にして下さいよ。その上で申し上げればですね、個人としてのそうして見識にわれわれは着目をしたわけです、是非その国際的な企業家としての手腕を諮問会議において改革のエンジンとしてまた成長のエンジンとして活発な議論をいただきたいと思っているわけです。他方、一般論としていえば各企業においては法令遵守をして頂くのは当たり前のことで、そうした違法行為があれば徹底して法に則って指導をしていく、処罰が必要であれば処罰をしていくのは当然であろうと。そしてまた直接雇用を増やして頂きたい。
枝野:個人として御手洗さんを委員をして貰っている。当たり前ですよ、公人は委員になれない。まさに経営者としてのいろいろな実績はあるでしょう。キャノンは確かに業績を上げていますよ、上げている業績の大きな要素は経営者である御手洗さんであるかも知れないけれど、まさにキャノン製品の世界に三社しか作れないというナノメートル単位の技術者の方に昨日は来て頂いたんですよ。こういう方を本来派遣法の趣旨からいえば7年間正社員ではない状況で働いてきているんですからとっくに正社員にしなきゃいけない。そういう人を正社員にするどころか団体交渉すら避けている。そういう経営をして利益を上げてきている。そういう経営者としての手腕を評価するという安倍首相だから格差の是正に本格的にならない。

 かつての米国企業は不景気になるとどんどんクビを切るけれど、景気が回復すると切った順に復帰をさせるというレイオフを多用してきた。今日本で起きていることは、レイオフなんてものではなくて、ずっと極端な低賃金で不安定労働を強いることによって長期安定を実現する。案の定、あの人材派遣法の改正で「製造業」を派遣、請負の対象においたのがそもそもの間違いだったわけだ。
 今日のこの枝野のキャノン追求に対する柳沢、安倍の答弁はただただ、あくまでも御手洗をサポートするためにあることが明確で、このままにしておくと本当に利益代表のための政治色が明白になっていくだろう。そんなことはあってはならないことで、一体いつから企業のための文化創造、企業のための制度政策となってきたのかといえば、その色が明確になってきたのは小泉の「ぶっ壊す」政治以来のことだと認識すればよいのではないだろうか。福井、柳沢、松岡、御手洗の居座り居直りを見たらこの内閣があくまでも市民に利する政治を全て否定して企業に利することによって自らの懐を利する利益代表政治に堕していることがわかる。それでもいざ選挙となったら皆さん、そんなことを忘れてしまうんだろうなぁ。私は後20年も生きやしないんだから良いといってしまうことだってできるんだけれど、これから40年も50年も生きていく人たちにとってはとんでもないこと認識して追求して行かなくてはならないだろうなぁ。