ほぼ足りてまだ欲 その先

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旧日本軍 毒ガス

 中国で旧日本軍が持っていたいわゆる黄ガス、赤ガスの類いが漏れ出して、中国住民が被害を受けた件について、日本政府による賠償を求めていた裁判の最高裁判決があったのだそうだ。そういえば、そんな事件があったのは記憶にあるけれど、その賠償というのは未だに決着がついていなかったどころか、裁判では上告を棄却したというニュースだ。しかもその棄却理由がこうある。

「危険な兵器がどこに埋まっているのか日本政府が中国のすべての地域を調査して事故を未然に防ぐのは極めて困難で、法的な責任は認められない」などとして訴えを退け、原告側は上告していました。

 ん?敗戦間際のごちゃごちゃで誰もどこにどれだけの化学兵器を捨てたのか、記録がない、だからわからないから責任がない、というのは客観的に見て、おかしくないか?
 この兵器を中国へ持ち込んだのはいったい誰だ?それをどこへ持ち込んだのかの記録がないのは、日本軍の責任ではないのか?少なくとも地域住民の責任ではないことは明確だ。どうして、こんな言い方で通るんだろうか。
 ところでこの判決に先立つ立った一日前、こんなニュースが流れている。

 中日民間組織は旧日本軍遺棄化学兵器被害者を支援する平和基金を共同で設立し、その調印式が28日、黒竜江省ハルビンで行われました。中国人権発展基金会の王建林事務次長と化学兵器被害者賠償請求日本弁護士団の南典男団長が双方を代表し署名しました。

 基金を設立するのは、被害者の支援を続けている日本の「毒ガス被害弁護団連絡会議」と中国の「中国人権発展基金会」で、両者の代表が、28日、ハルビンで開かれた被害者の状況に関する報告会の席上で、基金の年内設立に向けた合意文書に署名しました。
合意によりますと、基金の規模は200万人民元、日本円にしておよそ3500万円で、まず、中国側が企業などから寄付を募ることにしています。
 そして、基金の活動の実績を基に日本側でも、政府や関係企業などに、基金への支援を働きかけるとしています。
 中国では旧日本軍が遺棄した化学兵器の一部から漏れ出した毒ガスによって、中毒になる住民が相次ぎ、今も被害者の多くが後遺症に悩まされ、医療費や生活費の支援を必要としているということです。日本側を代表して合意文書に署名した南典男弁護士は、両国の民間どうしの協力でこうした基金が設立されるのは初めてだとしたうえで、「民間の協力で信頼醸成が進み、日中関係が改善して、日本政府も被害者に手を差し伸べるようになればいいと思う」と話しています。(NHK 2014年10月29日 4時10分)

 これを聞いて思いだしたのは、いわゆる「慰安婦」問題で民間の「女性のためのアジア平和国民基金」が活動したという記憶。あれが上手く機能したと日本政府は考えているのだろうか。
 表ではやらない、知らない、義務はないとして、民間ベースで動いて済まそうとする。しかし、実際は火に油を注ぐ結果となる、といういつもの一番つまらない、役に立たない方法だ。やり方が卑劣。情けない。