先月の29日から12日間のスケジュールで東京ドームで都市対抗野球大会が開催されているらしい。テレビやラジオのニュースでは全くお目にかからないけれど、昨日の昼間にちゃらちゃらとテレビチャンネルをさまよったら、GAORAで野球中継をやっていて、最初はその時映っていた選手の粒がか細く小さかったので、昔のリトル・リーグの録画をまたやっているのかと思った。それにしては塁間が長い。よく見ると社会人チームのようだ。今朝になってまたつけると「全日本」のユニフォームのようなチームが見える。いつかの録画かと思ってみると、いやいや、これは胸の表記が「NIPPON」になっていて、もしそうだとすると相当昔なのか・・。ググってみて初めてわかった。これは都市対抗野球で、このチームは「日本通運」なのだ。よく見ると「NIPPON EXPRESS」と二段に書いてある。それにしても全日本のユニフォームそっくりだ。この辺がノン・プロのノン・プロたるところで面白い。
考えてみるとこの「ノン・プロ」という表現も今はもう誰もいわない。ノン・プロといったらプロじゃない、という意味でプロ以外は全部そうだものなぁ。
それにしても今や全く脚光を浴びない大会になってしまったものだ。企業スポーツがどうだこうだといわれて久しいがそれでも今でもこうして「都市の代表」とは名ばかりの大会で社会人野球日本選手権と一体どこが違うんだろうということになるが、実は予選で敗れたチームから補強ができるというところが都市対抗の特徴という程度のもの。しかし、その歴史は古く、来年の第80回大会にはアジアの都市代表の参加も検討されているのだそうだ。日本のスポーツの楽しみ方がどんどん広がっていて、かつての二大スポーツだった野球と相撲だけではなくなっていることを実に良く表しているといって良いだろう(今年の全国選抜社会人相撲選手権大会は7月27日に石川県津幡町常設相撲場で開催されて全大分が優勝したんだそうだ)。こうしてみるとやっぱりJリーグの台頭はとても大きなものがある。上野の塩豆大福屋のせがれがこつこつとやって来た甲斐があろうというものだ。
高校野球の大会にはそれなりの意味があるのかも知れないが、オリンピックの野球代表がプロ選手の大会になってしまってからは、社会人野球選手権も、都市対抗野球もほとんど私は関心がなくなった。欽ちゃん野球やノモ・ベースボール・クラブなんかがまた出たりするんだったら見ても良いけれど。一度アマチュア野球団体の利権の話を聞いてしまってから面白くなくなったのも一因かも知れない。公私をぐだぐだにしてしまうのはどんなところでも同じなんだろうけれど、だったら爽やかさを売りにするなよという気がしないでもない。
野茂投手もプロ入り前は新日鐵堺の選手だったように(彼の実際の所属は新日鐵化学)、社会人野球チームからプロに入る選手も普通にいたけれど、最近ではどうなんだろうか。
かつてはスポーツ界にも貢献するのは企業としての役割のひとつだと思っていたのだけれど、この時代になってみると同じ貢献をしていてもその中身の意味が変わってきているのではないかという気がする。ここまでせっぱ詰まってくると企業側にも、そしてそれを見る側にも他に社会に貢献できる姿があり得るのではないのか、という考えも出てきそうだ。
第79回都市対抗野球大会出場チーム
- 北海道札幌市 JR北海道
- 東北仙台市 七十七銀行(セガサミーに敗退)
- にかほ市 TDK(鷺宮製作所に敗退)
- 北信越佐久市 TDK千曲川(富士重工業に敗退)
- 北関東太田市 富士重工業
- 日立市 日立製作所(東邦ガスに敗退)
- 南関東さいたま市 日本通運(JR北海道に敗退)
- 千葉市 JFE東日本(昔の川鉄千葉)
- 狭山市 Honda
- 東京都 鷺宮製作所
- 東京都 JR東日本
- 東京都 セガサミー
- 神奈川川崎市 三菱ふそう川崎(JR九州に敗退)
- 横須賀市 日産自動車
- 横浜市 新日本石油ENEOS(43回目の出場 元の日石カルテックス)
- 東海名古屋市 三菱重工名古屋
- 大垣市 西濃運輸(JFE西日本に敗退)
- 浜松市 ヤマハ
- 名古屋市 東邦ガス
- 豊川市 東海理化
- 春日井市 王子製紙
- 京都市 日本新薬(Hondaに敗退)
- 門真市 松下電器(なんと44回目の出場)
- 大阪市 日本生命(こっちは50回目だ。JR東日本に敗退)
- 大阪市 NTT西日本
- 神戸市 三菱重工神戸
- 姫路市 新日本製鐵広畑(三菱重工神戸に敗退)
- 東広島市 伯和ビクトリーズ(元はといえばリースキン。パチンコ屋さんの伯和グループ。JFE東日本に敗退。)
- 倉敷市 JFE西日本(昔のNKK福山と川鉄水島)
- 高松市 JR四国(新日本石油ENEOSに敗退)
- 北九州市 JR九州
- 熊本市 熊本ゴールデンラークス(1976年創業のスーパー“鮮ど市場”だがあえてチーム名に企業名をつけていない。)
2回目の出場チームが4チーム。初出場チームはゼロ。