ほぼ足りてまだ欲 その先

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ベビーシッター

 昨日の事件はショックだった。なんせ見ず知らずの人間にそれもネット上で頼んだだけじゃなくて、その代理だという男に子どもを預け、挙げ句に横浜から埼玉まで子どもは連れて行かれて、死んじゃったという事件なんだから。
 世の中はそこまで行っていたのかということにも驚いたけれど、そうまでしなくては二人の子供を預かってくれる人を見つけられない時代になっている、ということにはただただ驚愕だった。
 そもそも日本にベビーシッターという概念は存在しなかったと私は思っていた。なにしろ知らない人を家に上げて、子守をして貰うということを日本人は考えてもいなかったはずだ。だから、米国で高校生のアルバイトとして典型的なベビー・シッティングを聴いたときには、こんな事も考えられるのかと虚を突かれた感じだった。それも実は近所のお兄ちゃんおねぇちゃんだからやれていた。尤もそれだって、結構いい加減なことがあった。
 今度の事件の場合、容疑を掛けられている男がやっていたことは私設保育所のようなものだ。こんな形態は外国ではすでに行われていることではある。
 どんどん孤立する社会の中にあって子育ての上では当然こうしたニーズが出てくるだろう。法制度を含めて社会が必要とするサービスを如何に先取りするかという点では残念ながらこの国は全く得意でない。得意であるかないかというよりはそういう観点で動くのは役人の仕事ではないと思っている。
 自民党小池百合子が担当して「婚活」プロジェクトをやるんだという前に、彼らが考えなくてはならないのは、どうやって子どもを社会全体で育てるシステムを構築することができるのか、ということだろう。それが旨く行きさえすれば自然と将来の構想が開けてくるのではないだろうか。
 しかし、これも遅きに逸するとそのチャンスを永遠に失うことに繋がる可能性が高い。失うのは簡単だけれど、得るのはとても厄介なのだ。人は羮に懲りて膾を吹く。

追記

母親が利用したのは東京都千代田区の「ファーストビット」が運営する「シッターズネット」。男はこのサイトにベビーシッターとして登録していた。同社は「具体的な契約やトラブルの処理は当事者間で行ってもらっている」としている。(2014年3月18日09時29分 読売新聞)